理学療法士・作業療法士が18単位の負担を乗り越える方法〜効率的な時間管理とストレス軽減のヒント〜

はじめに

病院や施設で働く理学療法士(PT)・作業療法士(OT)が直面するのが1日の単位数のノルマ。職場によって様々ですが、18単位〜21単位のところが多いのではないでしょうか。しかし、「18単位」を超えてくると負担を感じる人も多いと思います。単位を取る時間は、患者さんに対して個別リハビリを提供している時間になります。その時間でカルテを書いたり、その他の書類を作成することはできません。そのため、算定単位数が増えてくると臨床に付随する業務をする時間がなくなってしまい、仕事がしんどくなってしまいます。請求単位のノルマが高いと、精神的にも肉体的な負担を感じることが多く、仕事へのモチベーションやパフォーマンスに影響を与える可能性があります。この記事では、18単位以上の単位取得が負担に感じているの方々に向けて、効率的な仕事の進め方とストレス軽減の方法を紹介し、少しでも業務を円滑にこなせるようなヒントを提供します。

「18単位」とは何を意味するのか?

リハビリテーション職では、「単位」という言葉が頻繁に使用されますが、これは一般的に一人の患者に対して提供するリハビリテーションの「量」を指します。

そして、20分を「1単位」とし、疾患ごとに点数が定められています。

例えば、施設基準1を届け出ている病院で、脳卒中の方に1単位(20分)のリハビリを提供すれば、245点の診療報酬を算定することができます。

18単位の内訳例

  • 1日6~8名の患者を担当
  • 各患者に40分〜60分のリハビリを提供

これらの業務に加えて、リハビリの時間外で患者ごとにカルテの記録をしたり、臨床の準備や片付け、計画を立てるなどが必要。日によってはカンファレンスや会議に参加したり、係や委員会の業務を行う必要があります。また、他職種や同じ患者さんを担当しているPT・OT・STとのコミュニケーション、さらには自己研鑽のための勉強時間も確保しなければならないため、時間的・精神的な余裕がなくなることが少なくありません。

2. 業務負担を軽減するための基本的な考え方

「18単位がきつい」と感じる背景には、効率の悪さや時間管理の難しさが大きく影響しています。負担を軽減するための基本的な戦略を確認していきましょう。

書類業務や係の仕事にかかる時間を把握

一度に全ての業務をこなそうとすると、圧倒されてしまうことがよくあります。業務を細分化し、1つ1つのタスクに集中して取り組むことで、ストレスを軽減し、業務を効率よく進められます。

自分が行わないといけない仕事はどのくらい時間がかかるか把握しましょう。例えば、計画書を1枚作るや1人あたりのカルテの記載に何分かかるかです。1つだと思う業務も細分化することができます。細分化した業務がどれぐらいかかるかざっくりでいいので把握しましょう。

また、カルテに関しても、すべての患者のカルテを1日のリハビリが全部終わった夕方などで一括で行うのではなく、可能であれば、1人のリハビリが終わるたびに短時間でまとめると、後から一気に記録を書く負担が減ります。

優先順位を明確にする

まずは、業務の優先順位を明確にしましょう。理学療法士や作業療法士も人間です。全ての業務に全力を注ぐことができればいいのですが、それがなかなか難しいこともあります。そのため、業務の優先順位を明確にすることが大切です。

緊急度が高い業務をピックアップする

今日中にやらないと

時間管理のスキルを向上させる

効率的に働くためには、適切な時間管理が重要です。以下に、具体的な時間管理のテクニックを紹介します。

a. スケジュールを視覚化する

自分のスケジュールを紙やデジタルツールで視覚化することで、業務の見通しが立てやすくなります。どの患者にどのくらいの時間を割くかを前もって計画しておくことで、スムーズに業務を進めることができます。

  • やりたい業務をいつやるかをメモする
  • 優先順位を色分け:緊急性や重要度に応じてタスクを色分けすることで、集中すべき業務が一目で分かります。

b. 休憩時間を効果的に使う

忙しい日々の中でも、適切な休憩を取ることが重要です。短い休憩を効果的に取ることで、リフレッシュし、次の業務に集中できるようになります。

  • ポモドーロ・テクニックの活用:25分の業務と5分の休憩を繰り返すポモドーロ・テクニックを試してみると、集中力を維持しながら効率的に働くことができます。
  • 深呼吸やストレッチを取り入れる:短時間の休憩中に深呼吸やストレッチを行うことで、精神的にも身体的にもリラックスでき、次の業務に向けたエネルギーを回復させることができます。

効率的な記録作成の方法

リハビリテーション職において、患者の記録作成は非常に重要な業務の一つです。しかし、この業務が非常に時間を取ることも事実です。記録作成を効率化する方法を以下に紹介します。

a. テンプレートを活用する

毎回ゼロから記録を作成するのではなく、あらかじめ作成したテンプレートを活用することで、記録作成にかかる時間を大幅に短縮できます。特に、頻繁に使用するフレーズや診療記録の項目をあらかじめ決めておくと便利です。

  • 症状別テンプレート:患者の症状に応じたテンプレートを複数用意しておくと、似たような症例に対応する際にスムーズに記録が作成できます。

b. 音声入力を活用する

最近では、スマートフォンやPCの音声入力機能を利用して記録を作成することも可能です。特にタイピングが遅い場合や疲れているときには、音声入力が効果的です。

同僚との協力とチームワークの強化

新人としての負担を軽減するためには、職場でのチームワークも非常に重要です。同僚や上司に対して率直に相談し、助けを求めることをためらわないようにしましょう。

a. 情報共有を積極的に行う

業務に関して困ったことがあれば、積極的に同僚に相談しましょう。特に、新人のうちは経験が浅いため、他の経験豊富なスタッフのアドバイスが大きな助けになることがあります。

  • 定期的なミーティングの活用:週に一度、または月に一度、チームでのミーティングを行い、情報共有や意見交換をする機会を設けましょう。

b. 負担が大きい場合は相談を

もしも18単位の業務があまりに重すぎると感じた場合は、上司や管理者に相談し、適切な調整を依頼することも重要です。業務量が多すぎて仕事の質が低下することは、患者にとっても良いことではありません。適切なバランスを保ちながら、業務を進めるための環境づくりが必要です。

自己ケアの重要性

忙しい日々の中で忘れがちなのが、自己ケアです。心身の健康を保つことが、長期的に見て最も重要です。自己ケアの方法を紹介します。

a. 心身のバランスを保つ

リハビリテーション専門職は、患者との密接な関係が求められるため、精神的にも肉体的にも疲労が蓄積しやすい職業です。だからこそ、心身のバランスを取ることが重要です。

  • 睡眠の質を向上させる:適切な睡眠は、仕事のパフォーマンスを向上させ、精神的な疲労を軽減する大切な要素です。毎日7〜8時間の睡眠を目指し、寝る前にスマートフォンを使う時間を減らすなど、睡眠の質を高める習慣を取り入れましょう。
  • 運動を日常に取り入れる:ストレスを感じたときは軽い運動を取り入れることも効果的です。ウォーキングや軽いストレッチをすることで、リフレッシュし、日々の業務に向けた活力を得ることができます。

b. 趣味やリラックスタイムを確保する

多忙な業務に追われる中でも、プライベートな時間を大切にすることが自己ケアの一環です。好きなことや趣味に時間を費やすことで、心の安定を保つことができます。

  • 趣味の時間をスケジュールに入れる:リハビリ業務の合間や休日に、映画鑑賞や読書、手芸などの趣味に取り組む時間を意識的に確保することで、仕事のストレスをリセットできるでしょう。
  • リラクゼーションの技術を学ぶ:ヨガや瞑想、呼吸法などのリラクゼーション技術を学ぶことは、ストレス管理の有効な方法です。これらの方法を取り入れることで、心身のリラクゼーションが促進され、リフレッシュした気持ちで仕事に臨めるようになります。

自己成長とキャリアアップを見据える

新人の段階では、業務に追われる日々が続くかもしれませんが、将来的には自己成長やキャリアアップも視野に入れて働くことが大切です。短期的な負担軽減だけでなく、長期的な目標を持つことで、モチベーションを維持しやすくなります。

a. 自己研鑽の時間を工夫して確保する

18単位の業務をこなす中で、自己研鑽の時間を確保するのは難しいと感じるかもしれません。しかし、自己成長を続けることは、リハビリテーション専門職としてのスキル向上に欠かせない要素です。時間がないと感じる場合でも、工夫次第で学びの機会を増やすことができます。

  • 隙間時間を活用する:通勤時間や休憩時間など、短い時間でも専門書を読んだり、専門的なポッドキャストを聞くことができます。こうした隙間時間を活用することで、学びの量を増やすことができます。
  • 優先事項を明確にする:多くのことを学ぼうとすると逆に負担になります。今の自分にとって必要なスキルや知識に集中し、自己研鑽の方向性を明確にすることが重要です。

b. キャリアプランを描く

長期的な目標を持つことは、現在の負担を軽減するだけでなく、モチベーションの維持にもつながります。リハビリテーション職としてのキャリアプランを描き、それに向けて具体的なステップを踏むことを意識しましょう。

  • 専門分野を決める:将来的に興味を持つ分野や特定の専門性を磨くことで、自分自身の強みを活かしたキャリアを築くことができます。例えば、高齢者リハビリやスポーツリハビリなど、特定の領域に集中することで専門知識を深めることができます。
  • 資格取得や研修に挑戦する:新たな資格取得や研修に参加することで、自己成長を続け、より専門的な知識とスキルを身につけることができます。これにより、キャリアの幅が広がり、さらなる自己成長の機会が得られます。

メンタルヘルスの重要性

リハビリテーション専門職にとって、メンタルヘルスの維持は非常に重要です。18単位の業務をこなす中で、精神的な負担が増えることは避けられません。メンタルヘルスをケアし、心の健康を保つ方法を知ることは、業務を長期間にわたって続けていく上で欠かせません。

a. ストレスの早期発見と対処

ストレスを放置すると、後々大きな問題につながることがあります。ストレスサインを早期に認識し、適切に対処することが重要です。

  • 定期的な自己チェック:自分自身のストレス状態を定期的にチェックする習慣を持ちましょう。例えば、最近イライラすることが増えている、疲れが取れないと感じたときは、ストレスが溜まっているサインかもしれません。
  • サポートシステムを活用する:必要であれば、同僚や上司、またはメンタルヘルスの専門家に相談することも大切です。一人で抱え込まずに、サポートを受けながら問題を解決していくことが、ストレス軽減につながります。

b. メンタルヘルスを保つ習慣を作る

日常的にメンタルヘルスを保つための習慣を作ることも有効です。例えば、定期的に趣味に没頭する時間を設けたり、友人や家族とのコミュニケーションを大切にすることが心の安定につながります。

  • リフレッシュの時間を作る:忙しい業務の中でも、リフレッシュする時間を定期的に取ることが必要です。週末には好きなことに没頭したり、短い旅行を楽しむことで、リラックスした状態で仕事に戻れるでしょう。
  • 感謝の気持ちを持つ:感謝の気持ちを持ち続けることで、精神的な安定が保たれやすくなります。例えば、1日の終わりに良かったことや感謝できる出来事を振り返る習慣を持つと、ポジティブな視点で物事を捉えやすくなります。

おわりに

「リハビリ 18単位 きつい」というフレーズが示すように、特に新人リハビリテーション専門職にとって、業務の負担は大きく、時には圧倒されることもあるでしょう。しかし、効率的な時間管理や自己ケア、メンタルヘルスへの配慮を通じて、業務の負担を少しずつ軽減することが可能です。また、自己成長とキャリアアップを見据えながら働くことで、長期的な視点での充実感や達成感を得られるでしょう。

どんなに忙しくても、自己ケアとバランスを保ちながら、リハビリテーション専門職としてのやりがいを感じつつ、前向きに業務に取り組むことが大切です。

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