【1日21単位】回復期作業療法士の1日のリアルなスケジュール

目次

はじめに

現在学生で、作業療法士や理学療法士になろうかどうか考えているけど、実際どんな働き方をしているか気になる人や、
現在作業療法士や理学療法士、言語聴覚士として働いている方の中には、他の職場のセラピストがどんな働き方をしているか気になるって人、いますよね?

私自身も他の作業療法士がどんな働き方をしているか気になる一人です(笑)

  • 他の職場はどんな感じなんだろう?
  • 毎日ノルマに追われてきつい

この記事では、回復期リハビリテーション病棟で約10年働く私自身の体験談をもとに、実際にどのようなスケジュールで働いていたかをご紹介します。
そして、ブラックな働き方を少しでも避けるための方法を最後にご提案します。

まずは前提を確認|リハビリの診療報酬について

まず初めに、リハビリの診療報酬体系をご存じないリハビリ専門職以外の方々のために、
リハビリの診療報酬のしくみを簡単にご紹介します。

診療報酬は、1点10円とされ、処置や治療ごとにひとつひとつ細かく国に決められています。
病院に行ったときにもらえる診療明細書にすべて書かれているのを見たことがあるかたも多いのではないでしょうか?

しかし、リハビリの診療報酬の決まり方は、他の職種と比べると少しだけ特殊です。

リハビリは20分を1単位とし、1単位ごとに診療報酬が決められています。
つまり、やった時間に応じて診療報酬が変わります。
なお、1単位あたりの診療報酬は疾患区分や、施設基準によっても変わってきます。

なお、その20分の時間には、患者の送迎やセラピストがリハ室などから病室などに移動する時間は含めてはいけません。

転職前の1日のリアルなスケジュール

8時過ぎ 出勤
 | 制服に着替えたり情報収集
8:30 始業時間。
 |  朝礼
8:40 臨床開始(1人3単位、合計9単位)
 | 
12:00 休憩時間
 |
13:00 午後の臨床開始(1人3単位、合計12単位)
 |
17:00 記録
 |
17:30 終業

転職後の1日のリアルなスケジュール

病院などのホームページを見ると、どれも定時に出勤し、定時に帰ることができる設定です。
また、何人の患者さんに何単位リハビリしたかまでは書かれていません。
今回はそれらよりも少し細かく紹介します。

カンファレンスなどのリハビリ以外の予定がない1日

8時過ぎ 出勤
 | 制服に着替えたり情報収集
8:30 始業時間。
 |  朝礼
8:40 臨床開始(1人3単位、合計9単位)
 | 
12:00 休憩時間
 |
13:00 午後の臨床開始(1人3単位、合計12単位)
 |
17:00 記録
 |
17:30 終業

どんなときに残業が発生する?

主に残業が発生する場合は以下の通りです

  • 1日でリハビリをする患者の人数が多くなったとき
  • 新しい担当を受け持ったとき
  • 担当の退院が近くなったとき
  • 臨床時間後に会議や研修会が入ったとき

それぞれ見ていきましょう。

1日でリハビリをする患者の人数が多くなったとき

1日あたりの単位取得数が同じでも、人数が増えると患者の送迎やセラピスト自身の送迎がある分の時間が取られてしまいます。
回復期などで患者さん一人当たり3単位ずつ取れる環境であると時間の余裕が生まれる場合もありますが、一般病棟で患者一人当たり3単位ずつ行えない環境だとそうは行きません。
場合によっては1人1単位ずつしかリハビリを行えない場合も珍しくありません。そのような場合は、単位数が少なくても残業が発生してしまうことも少なくありません。

新しい担当を受け持ったとき

新しい患者さんを受け持つときには、リハビリテーション実施計画書などの法律上必要とされている書類の作成や、それに患者さんやその家族からサインをもらう必要があります。また、患者さんに適切なリハビリを提供するために、筋力や関節可動域を測定します。また、脳卒中で麻痺以外に高次脳機能障害のある患者さんに対してはそれを調べるためのテストをしなければなりません。それの採点や評価だけで1時間以上かかることもありますが、業務時間中は患者さんのリハビリで時間が湿られているため、残業時間が長くなります。

担当の退院が近くなったとき

担当の退院日が決まると、退院のための書類業務が発生します。
リハビリの内容や様子、患者さんの日常生活動作の介助量を患者が退院後に利用する施設や病院などに伝えるためのリハビリサマリーを作らなければなりません。
入院したときに行った評価をもう一度行い、リハビリでどのような変化があったか記録する必要もあります。
回復期リハビリテーション病棟の場合は回復期を退院するときにFIMを評価し、それをリハビリテーション総合実施計画書に記載し、患者さんやその家族などにサインをもらいます。

臨床時間後に会議や研修会が入ったとき

患者さんのリハビリが終わった夕方に会議や研修会があることがあります。
その場合は普段カルテや書類業務を行う時間が会議になるため、その分残業が増えることも。

残業は「悪」なのか?

研修会は自分が学びたい内容ならOK

研修会をしてくれる職場は、職員を育てるために時間的なコストをかけてくれたり、研修会の講師係の職員は研修会の時間分やその準備の余分に時間を使うことになるため、余分に残業代が発生したり、臨床時間にそれらを行うのであれば、本来算定できた個別リハビリの単位数の時間分をそれにあてるため、収入的な部分をあるいみ犠牲にしているわけです。
余分に時間的・金銭的コストをかけてでも職員の育成をしたいという思いがある場合もあります。

私生活を犠牲にしすぎない範囲ならOK

残業代がしっかり出るのであれば、必要な残業をしっかり行うことで給料アップを狙うことができます。
独身だったり、家族の理解が得られれば、残業が多少長くても問題ないかもしれません。
でも、独身でも趣味やプライベートの時間はしっかり確保したい人や、家族との時間を大事にしたい人は、残業がない職場が適しています。

こんな場合は要注意

残業が長過ぎる

残業で夜遅くなる場合は注意しましょう。
評価や書類業務、研修などで残業が発生する場合がありますが、
夜の9時を過ぎることがある職場もあると思います。
もし、自分から進んでやっているのであれば問題ないかもしれますが、
そうでない場合は注意が必要です。
夜遅くまで残業する日が続くと心身ともに負担となり、体調を崩すこともあります。

残業代がでない

必要な残業をしても残業代がでない職場もあります。
私が以前勤めていた職場もそうでした。

あらゆる理由をつけて残業代を払おうとしませんでした。

この場合はれっきとした法律違反なので、そのような職場に務め続けてはいけません。

転職活動後、労働基準監督署に通告しましょう。

まとめ|“21単位”の現場から見えた、作業療法士のリアルと向き合い方

回復期リハビリテーション病棟での作業療法士の1日は、想像以上に分刻みで動いています。患者さん一人ひとりに向き合いながら、リハビリの単位数を意識し、さらには書類業務や会議、研修などもこなさなければなりません。

しかし、それがすべて「ブラック」だというわけではありません。
大切なのは、その職場が「自分にとって納得できる環境かどうか」。

  • 残業があっても学びや成長につながるなら前向きに捉えられる
  • 私生活や健康が脅かされるほどなら、見直す必要がある
  • 残業代が出ないなどの違法な環境には、我慢せず行動する勇気を

もし今の働き方に違和感があるなら、他の現場を知ることや転職を視野に入れることも一つの手です。
この記事が、あなたの働き方を見つめ直すきっかけになれば幸いです。

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この記事を書いた人

作業療法士9年目|住環境福祉コーディネーター2級
若手PT・OTの方に向けて、仕事の悩みや不安に寄り添う記事を掲載中。
「現場で働くセラピストの支え」になるブログを目指しています。

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