はじめに
作業療法士に興味をもった方の中には「作業療法士って大変じゃないの?」「作業療法士のリアルな部分を知りたい!」と思った人もいるのではないでしょうか。
そんな方に向けて、今回は現役作業療法士8年目の私が、現場で感じた作業療法士の大変な部分を6つ紹介したいと思います。
この記事を読んで、リアルな部分、大変な部分を理解することで、働き始めたり、実習が始まってから「思ってたのと違う」と悩むことがないように、大変な部分もしっかり理解することで、長くキャリアを続けることができると思います。
また、現役の作業療法士の方も共感する部分があればコメントお待ちしております。
作業療法士の大変なところ6選
体力仕事
一般的な病院で働く作業療法士は、患者さんの筋トレをしたり、職場によっては歩く練習もしたりするなど、体力を使う仕事です。また、介助が必要な患者さんのリハビリをするために、患者さんをベッドから車椅子に移したり、ベッド上での姿勢を整えるために患者さんを引き上げる介助も必要になってきます。中には100kgを超えるような体格が大きな患者さんもいたほどです。体力が必要で、筆者自身、仕事が終わったあとはぐったりしています。中には腰痛持ちになってしまう作業療法士も少なくありません。
ノルマがある
リハビリの医療保険の点数の算定の仕方は、20分を1単位とし、病気や怪我の種類によって「1単位いくら」と診療報酬が定められています。
作業療法士も一人の従業員として給料をもらうためには、利益をあげなければなりません。
そのため、「1日最低◯単位のリハビリをしなさい」とノルマを設けている病院がほとんどです。
そして1単位20分というのはあくまで患者さんにリハビリをする時間であって、カルテを書いたり、必要な書類業務をしたり、研修したりする時間は含まれません。
ノルマが厳しい病院であると、体力的にも精神的にも厳しい状況に追い込まれることにもなるので、就職先や転職先を探す際は必ず情報収集をしましょう。ただし、見学に行った際に直接的に聞くのはおすすめしません。なぜなら良くない印象を持たれるだけでなく、ノルマが厳しい病院ほど正確には教えてくれません。
人間関係
働くほとんどの人が人、間関係に悩むと思います。
作業療法士も例外ではありません。人間関係が良好な職場も多くありますが、中にはそうではない職場もあるのも事実です。リハビリ業界では一人の患者さんに、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の3職種、または疾患によっては理学療法士、作業療法士の2職種が担当としてつきます。この職種間で意見が合わないこともあります。
また、入院患者さんは自宅退院や施設の退院に向け、主治医をはじめさまざまな職種が関わります。看護師さんや介護士さんなどと意見が合わないことはよくあります。また、よくあるのが、リハビリに入ろうとしたら検査や処置、入浴とダブルブッキングしてしまうことです。こういった場合は、どちらかが時間を譲らなければならなくなります。うまいこと時間調整がいけばいいのですが、うまくいかなかった場合はお互いの不満の原因にもなってしまいます。
理学療法士との違いに悩む
作業療法士は、学校で手芸や工作などを使用したリハビリを1年次に学びます。
しかし、病院に就職すると、そういう活動を使用したリハビリよりも筋トレやストレッチをすることが多くあります。また、作業療法士も歩行訓練をする職場もあります。そのため、学校で習ってきたことや、学生時代に持っていたイメージと違うことに悩む作業療法士も少なくありません。
自己研鑽が大変
作業療法士を含め、医療従事者は自己研鑽が求められます。
病院や施設で業務時間内に研修があってもわずかで、仕事で必要な技術であっても自分の時間を使って学ぶことが求められます。病院や施設によっては業務時間外に研修が組まれ、それが仕事で必要な技術の研修であっても残業代が出る病院はほとんどありません。
そのため、研修が多い病院や施設は、自分の勉強になる一方、プライベートの時間がどんどん削られたり、帰宅するのが遅くなるなど負担も大きくなります。
また、リハビリ専門職は協会への加入が望ましいとされており、例えば、作業療法士だと日本作業療法士協会と都道府県別の作業療法士協会があり、それぞれ合わせて年間2万円の協会費がかかります。協会に参加することで、追加料金無料で研修会を受けられたり、キャリアアップを図れたりするメリットもありますが、そのような研修も休日に行く必要があることがほとんどです。
昇給は0円のところも。最大でも5,000円程度
作業療法士だけではなく、理学療法士や看護師など医療従事者として働く際の大変なところのひとつが、昇給額が少ないことです。初任給は、他業種と比較し高い傾向にあります。しかし、そこからの昇給はごくわずかで、前年度から比較して昇給がなかったという病院や施設も珍しくありません。住んでいるエリアにもよりますが、筆者の肌感ですが、1,000円〜3,000円の間が中央値で、どんなに高くても5,000円に届くかどうかです。また、福利厚生に関してもやや見劣りします。人手不足が叫ばれる看護師さんと比べ、リハビリ専門職は飽和しているとも言われています。その影響からか、看護師と比べると、リハビリ専門職の福利厚生は、若干見劣りする場合もあります。その例として、看護師は病院奨学金と呼ばれるものがあり、将来就職する病院に学費を出してもらい、その病院が定めた年数そこで働くと、奨学金が免除になる制度です。
まとめ
作業療法士の現実を6つを紹介してみました。働く上でもちろん良いこともありますが、大変なこともあります。大変な部分も理解した上で作業療法士を目指すことで、働いてからのギャップや悩みも最小限にすることができます。
コメント